日別アーカイブ: 2018年9月15日

「仕事と日」と風土記、アンダルシアの青い空  #7

古代ギリシアの「教訓叙事詩」、ヘーシオドスの「仕事と日」には、一般の人の生活をリアルに記述した部分がある(松平千秋訳。岩波文庫。「/」は改行を示す)。

「またこの時節(1~2月)には、肌を守らなければならぬが、これからもわしがすすめるように、/柔らかい上着(クライナ)と足まで届く肌衣を身に着けよ。/縦糸を少な目に、横糸を多くして織るのだ。/これを着て肌を蔽えば、体じゅうの毛も静かに動かず、逆立って鳥肌になることもない。/足には、屠殺した牛の皮の、内側をフェルトで厚く裏打ちしたサンダルを/足にきっちりと合わせて穿け。/寒気の季節が到来したならば、一歳の子山羊の皮を、/牛の腱で縫いあわせよ、背にかかる/雨を防ぐためにこれを羽織るのじゃ、また頭には、/耳を濡らさぬように、フェルトで仕上げた帽子を被れ。」

時代の違いを(再び)無視して御託を少し。この執拗で細密な記述と、風土記の軽やかな文章とを比較すると、西洋の油絵の風俗画と絵巻や浮世絵との違いのようだ。リアルだがねっとりvsやや類型的だが洒脱。 続きを読む