ネット図書館を実現するには?

サイト「レワニワ図書館」が公開できる状態に近づいています。ここで一度、同「図書館」が仮想する「ネット図書館」について、その全体像を略述しておきます。何しろ、いま頭の中はそちら方面のあれこれで一杯、読んだ本のことを落ち着いて考えられなくなっています。

サイトでは、ネット図書館を次のように規定しました。「個々人がネット上に設けられた自らの蔵書スペースに自発的に収蔵した自作の『本』の集合体」これは、青空文庫をはじめすでにある本を電子的に集めた既存のネット図書館とは異なります。

また、作品をネットに上げる仕組みはいくらもありますが、私の知る限り、それらは「中身」を開示するスペースのようです。私が考えているのは、きちんと作られた「本」を個人単位でネット上にアップできる公開アーカイブです。

こうしたネット図書館を可能にするには、次の2点が実現される必要があります。1)ネットで閲覧できる「きちんとした本」を、簡便な入力で製作できるワープロ・アプリ(「本づくり」の機能に特化したもの)。2)個人作の「本」の無料での収蔵・閲覧を可能にするネット上のプラットフォーム。今はどちらも存在しません。

1)が必要と考えるのは、私が日本語を母国語としているからでしょう。日本語の特徴である縦書き、漢字仮名交じり文はwebと相性が悪く、個人でネットで読める本をきちんと作ろうとすると困難を極めます。ePubは罠だらけの迷路、PDFはボール紙の衣装みたいというのが私の印象です。

ネット図書館を実現するには、1)のような日本語ワープロ・アプリが不可欠です。PDFやePubといった既存のフォーマットを使わず、そもそもHTMLベースとしなければ比較的容易に実現できるのではないでしょうか。コピーガードなどの技術面、ネットの世界のルールなど問題点は少なからずあると思いますが。一太郎のジャストシステムが作ってくれないかなあ、というのが私の願望です。

1)が実現して初めて2)が可能になります。これは、HTMLでもさほど不自由しない各種アルファベットの世界の人々には思いつかない独創的なプラットフォームであるはずです。<出版社を経由しない個人の「本」の公開アーカイブ>は、今は世界中どこにも存在しないようですが、やがて当たり前のものになる可能性があります。

ニュースをTwitterやFBで、映像や音楽をYouTubeで個人が発信できるようになったのと同様、「本」も個人が「発刊」できるようになるということです。この状況は、それ以前にはなかった「本」を生み出すことにつながるでしょう(出版社は不要になりません。役割が変化します)。こうしたプラットフォームを日本語ベースで作り、世界に先駆けてデファクト・スタンダードとして確立することには大きな意義があると考えます。

ですが、今はボール紙の衣装をまとったレワニワ図書館があるだけです。未来を作り出す力は私にはありませんので、ひとまず、このささやかなサイトをネットに開放できることに満足します。