日別アーカイブ: 2019年12月7日

続・旧約聖書を通読するには

旧約聖書を通読するには適切なガイドブックが必要だと私は考えます。しかし、それだけでは足りないかもしれません。読み通す上で最も大変なのは、通読への意欲を持続させることなのです。新約聖書を読んだからとか、教養のためとか、面白いかもしれないとか軽い気持ち(?)で挑むと、前回触れた「レビ記・民数記の壁」が高い確率で立ち塞るでしょう。それで、中の有名どころだけ読もうとか、入門書で満足するとかいうことになり勝ちです。実際、読まないですましたい人向けの本は結構あります。

忙しい現代人にとって、あれ・・は長すぎます。しかし、1回通読しただけで偉そうですが、旧約を全部読まずにすますのは勿体ないと思います。そこで、非キリスト教徒限定で、通読意欲増進のために勧めたい本があります。『誰も教えてくれない聖書の読み方』作者のケン・スミス氏も訳者の山形浩生氏も聖書やユダヤ教・キリスト教の専門家ではありません。学者でも聖職者でもありません。

作者は『ロードサイド・アメリカ』というベストセラーを書いた多方面に渡る才人、訳者は数多くの訳書があるものの翻訳家ではなく……何か凄い人(初耳という人は検索してください)。そんな「素人」に聖書をめぐる本なんて書けるのでしょうか? 書けるし、むしろ「素人」こそ書くべきという面があるのです(後述します)。で、『誰も……』に何が書いてあるかと言えば、聖書(新約を含む、というか新約の方が比重が大きい)の揚げ足取りです。私じゃなく、訳者の山形氏がそう言っています。 続きを読む