本を読んで面白いと感じる理由について考えてみたくなった。きっかけは「ドン・キホーテ」だ。楽しく読んでいるのに、自分がなにを面白がっているのか分からず、釈然としないまま読了した。こんな経験は過去にない。
面白がって読んでいる最中、面白い理由について普通は考えたりしない。しかし、「ドン・キホーテ」の場合は、確かにこの小説は面白いけれど、何が面白いのかよく分からない、なぜなんだろう? とずっと自分に問いかけていた気がする。
それは私にとって「深刻な」と表現してもいほどの戸惑いだった。読み終えたのはずいぶん前のことだが、長い間、その不可思議な感覚を鮮明に思い出すことができた。この文章は、その戸惑いと疑問を究明するために書き始められた。もやもやと頭の中でわだかまっている問題について、書くことで解決できる場合がある……その可能性に期待をかけているのだ。 続きを読む