アウグスティヌス「告白」は精々3回くらいのつもりで書き始めたのに、全7回になった。この本には、私のような不勉強な非信者をもかきたてる何かが宿っているようだ。当初の「ドン・キホーテはなぜ面白いのか」考えるというテーマからは、思いがけないほど遠くに来てしまった。全50回で終わりにしようという心づもりだったが、それも超えている。なのにホメロス「イリアス」「オデュッセイア」について書くという決意を果たしていない。
ホメロスの前に、アッリアノス『アレクサンドロス大王東征記』(大牟田章訳、岩波文庫)を取り上げるのも断念している。いったん書き始めたのだが、続けられなかった。ヘロドトス「歴史」、クセノポン「アナバシス」が面白かったので、続いて読むならこれだろうと目星をつけたところ、期待は裏切られなかった。『アレクサンドロスの征服と神話』(森谷公俊、講談社学術文庫)なども読んで、ここに書く参考にしようと準備を整えていた。しかし、いざ取りかかったら、「歴史」と「アナバシス」の時のような高揚感が湧いて来ない。「東征記」が、多くの史料を活かして綴られた司馬遼太郎のような歴史「読み物」であるせいなのか。はたまた、古代の戦記については書きたいことは粗方書いてしまったせいなのか。何度かトライして、とうとう諦めた。 続きを読む