月別アーカイブ: 2022年3月

またもドン・キホーテに出会う

 ドン・キホーテに「さらば」と挨拶(#70)し、そのすぐ後に1回だけ「再見」して補注を書いてから、いつの間にか1年以上が過ぎていました。ずっと探し続けていたドン・キホーテの面白さの謎について、アメリコ・カストロという鍵となる学者を見つけたものの、スペイン語ができず、さりとて翻訳書の文章は私にはとても読めないので、断念せざるを得なかったのです。しかし、事情が変わったと言えそうです。

 断念の六つ目の理由としてあげた頭痛と眼痛は、その後大幅に軽くなっていました(でなければ、noteの常陸国風土記現代語訳は不可能でした)。そして、知らなかったのですが、昨年暮れにカストロの主著が『スペインの歴史的現実』『スペイン人とは誰か』という2冊の邦訳として出版されていたのです。これを例の隣町の書店で発見し、各8000円ではすぐには買えず、読めるのか試そうと図書館で借りました。

 訳者は私が読めなかったカストロの他の本と同じ本田誠二氏です。しかし、両書は(苦労はしますが)読めます。そして内容は間違いなく興味深いのです。厚さからして図書館から借りてでは読み切れないので、『現実』を買いました。で、『誰か』をどうするか、悩んでいます。ここで本格的に読み始めると、せっかく取りかかるはずの小説が先延ばしになります。とりあえず揃えておいて、少しずつ読んで……。他にも、1万円超えの本が必要になりそうなのも辛いところです。 続きを読む

新しい小説を書くには?

 前回の更新から1ヶ月がたちました。そこで予告めいたことを書いたのですが、できそうにありません。頭の中が小説モードになって、ブログを書くことすら余事と化したかのよう……ですが、実際にはもう少し困った状況に陥っています。本格的に小説の準備を始めて間もなく、私の頭の中にある小説のプランを実現するには足りていないことがいくつもあると分かったのです。それも簡単でないことばかり。

 私の力量ではこの小説は書けそうにない、という怖れのような予感に打ちのめされ、数日の間、絶望しそうになっていました。その後、やりようがあるかもしれないと思い直すに至ったものの、意気揚々と出発する矢先に落馬した感じで、なかなか立ち直れませんでした。まだ十分には回復していませんが、こうして愚痴をこぼせるくらいには症状が軽くなったようです。

 新しい小説のプランの根幹は、このブログで扱った歴史上の人物を小説に取り込むことです。そうした前提で「その本は、なぜ面白いのか?」を書き始めたわけでは全くありませんが、同テーマによるブログの終了が目に見え始めるのと同時に、新しい小説の姿が湧水のように自然に浮かんで来たのでした。これで再び小説が書けると喜び勇みました。偽の悟りを開いたようなことだったわけですが。 続きを読む