日別アーカイブ: 2020年1月11日

「聖書、読もうぜ」

マコーマック『雲』について書いている間、頭痛は軽くすみました。頭痛と旧約聖書の間に関係があるのかも、と少し疑っています。もう一つ証拠が加わったようでもありますが……読書や執筆は、高地への旅のようなものだと考えることにします。頭痛を怖れていては到達できない場所があるのです。

旧約は読むのも苦労しますが、それについて書くのも一筋縄ではいきません。書名をどう表記するかという最初の一歩から問題が生じます。ご存じのように、旧約聖書とはキリスト教側からの名称です。主とユダヤ民族との間に結ばれた契約は、イエス・キリストによって新たに結び直されたので、古い契約に関わるのは旧約、新たな契約に関するものが新約というわけです。もちろんユダヤ教はこれを認めません。ユダヤ教で何と称しているかは、別項で。

主ヤハウェと契約を結んだ人々を何と呼ぶかも悩ましく(ヘブライ人、イスラエル人、ユダヤ人)、彼らの宗教がユダヤ教と呼ばれるようになる以前の「宗派」を何と記すべきかを含め、厳密さを求めるとそれこそ頭が痛くなります。一番面倒(と言っては失礼ながら)なのは、旧約聖書がキリスト教のものとして長く受容されて来たためか、扱い方について外からは見えにくい「作法」があることです。ケン・スミス『誰も教えてくれない聖書の読み方』は、この有形無形の聖書バリヤを一刀両断してくれました。 続きを読む