日別アーカイブ: 2018年9月25日

播磨国風土記の地名起源説話  #9

フォーマットは違うものの、形式的なまとまり具合で「播磨国風土記」は「出雲国風土記」に劣らない。播磨編の定式は、こほりや山や川のそれぞれに地名の由来が記され、里においては農地に九段階のランク付けがされるというものである。

地名起源には興味深いものもあるが、たいてい「寒い」駄洒落の類いで――賀野かやの里は応神天応がここに御殿を造って蚊屋を張ったから――やがて辟易することになる。しかも播磨編は結構長いのに(角川ソフィア文庫版で150ページ超)、駄洒落地名起源説が最後まで飽かず繰り返されるのだ。

古代の人々の生活に直接触れるような生々しさに欠ける点も、出雲編と同様である。活躍する「登場人物」は殆どが神々や天皇を筆頭とする貴人である。なので、記紀のような神話と歴史の融合体から、時間軸を抜いてフラットに仕立てた(かつ、うんと素朴にした)ものを読んでいるような感触を覚える。 続きを読む